中国の地名の読み方

姪に中学校の地図帳を見せてもらった。
※今、高校2年生なので4年前に印刷されたもの。


文部科学省検定済教科書


(画面クリックで拡大)
裏表紙には「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、
国民の税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」と書いてある。
私が子どもの頃にはなかった気がすると思って調べたら
この文は平成19年度使用の小学校後期用教科書(中学校は20年度使用教科書)
から掲載されるようになった(こちら)。


広州周辺の地図。
コワントン(広東)、コワンチョウ(広州)、シェンチェン(深圳)、チューハイ(珠海)…

これに従うと“コワントン(広東)料理”、“食はコワンチョウ(広州)に在り”と読まなければいけない。

一番強烈だったのはチュー川(珠江)。
広州に3年近く住んでいたけれどチュー川なんて見たことも聞いたこともない。
私の大好きな珠江ビールはチュー川ビールになってしまう。


地名がカタカナのみの地図もある。
チョンチン(重慶)、ウーハン(武漢)、フーチョウ(福州)…地図がヒントになり、なんとか漢字を思いついた。

この読み方は50年以上前に有識者の方々が中国語(普通話、北京語)をベースに作ったのが始まりらしいけれど
中国語の発音は日本語と大きく異なるし、四声(アクセント)が正しくないと全く通じない。

またこの読み方は中国語風としても違和感がある。私なら広州はグァンジョウ、広東はグァンドンと書く。
それに現地語にするなら広東省の地名は広東語風に広州はグォンジャウ、広東はグォンドンにしてほしい。
中国語の無気音と日本語の濁音は違うが、この方がマシだと思う。

さて『世界ふれあい街歩き』と『中国神秘紀行』を見てテレビでの読み方を再確認した。
カントン(広東)、コウシュウ(広州)、シンセン(深圳)、シュコウ(珠江)だった。
これが一般社会での読み方だと私は思う。

中国でも日本の社会でも通じない読み方をなぜ学校で教え込まなければいけないんだろう。

2017年1月10日追記
広州在住の日本人の中には珠江を中国語(普通話)読みでジュージャンと読んでいる人たちもいる。

参考
明木茂夫「社会科地図帳中国地名カタカナ現地音表記とその基準について」(『東方』367号、2011年9月、東方書店)はこちら(pdf)。